子宮筋腫日記 593

 7月の始め、急にテレビの音声が一語、一語、粒ではっきりと聴き取れるようになった。

日常生活においても、小さな声も大きな声も聴き取りにくい声も、どれも聴き取って瞬時に理解できるようになり、聴き取りに関してはまったく問題のない状態にまで回復した。

 1日には、ある講習会に参加した。先生を含めて4名という小規模の講習会で、先生を囲んでみんなで同じテーブルに座って話を聞いた。

 講習会の間は、自由に先生に質問をしたり、生徒さん同士で会話もできたため、とても和やかな雰囲気で進行し、私もいつになくリラックスした状態でノートにメモを取っていた。

 その最中、先生から「とても楽しそうですね」と声をかけられた。自分では意識していなかったが、皆さんの話を聞きながらニコニコとうなずいていたそうで、講習会後に先生から、「Aさんが楽しそうに話を聞いて下さったおかげで、私も緊張せずに済みました」というメッセージを頂いた。

 その後、他の人と会っているときにも、「とっても楽しそうね」と言われた。

 人から見ても「楽しそう」に見えるくらい、感情が顔に表れるようになってきたのだと知り、とてもうれしかった。

 その翌日は、地元のお祭りに、手話コーラスサークルの先生や皆さんと参加した。

 今年の演目は、「唱歌 ふるさと」と「唱歌 富士山」「365日の紙飛行機」の3曲だった。「365日の紙飛行機」では、先生の発案で手作りの紙飛行機をみんなで歌の終わりに客席に向かって飛ばすことになり、いつになく準備の段階から盛り上がった。

 また、2ヶ月前に新人さんが2人入ったことや、私が一番の古株になったこともあり、先生と2人で段取りを考えたり、主催者と打ち合わせをしたりと責任を感じる場面が多かった。

 加えて、今年もまた、マイクを持ってお客さんの前で話すことになり、本番前に原稿を作って自宅で練習をした。

 

 そして迎えた本番。10分程度、原稿を読みながら挨拶や手話の説明を行ったのだが、1度もつっかえたりどもることなく、すらすらと言うことができた。ほんの半年前まで、つっかえつっかえ本や雑誌の記事を音読していたことを思い出し、ここまで良くなったことに胸が熱くなった。

 発表も大成功で、お客さんたちから温かい拍手をもらい、みんなで喜び合った。

 いつも以上に達成感を味わい、心身ともに充実していた。